取り返しのつかないもの（転職騒動記） [転職]
転職したのは４２歳だった。
仕事が忙しくて、眠れなくなっていた。
毎日、残業（残務）続きで家につくのが２３時を回っていた。
それから食事を取り、風呂に入り床に潜りこんだら１時を過ぎている。
でも、帰路につくぎりぎりまで仕事でヒートアップされた脳は素直に眠りに落ちたりしない。
ある日、全く眠れない日があって、そうなるとその次の日も「眠れないのでは」と気になる。
そこから不眠が始まった。
朝、重い体と頭を引きずって会社に出る。
机に座って・・・思考がロックする。
気がつくと知らない間に１時間以上が過ぎている。
手の平の汗に驚く。
午後になり少し頭が回りだし、遅れた仕事の取り返しにやっきになる。
結局、残業（残務）に拍車がかかる。
毎日、時間を貪るように消費していく。
時計を見るのが怖い。
無駄に時間を食う会議に苛立つ。
暇そうにしている他部署の社員に苛立つ。
ただ、怒鳴り立てて自らは行動しない上司に苛立つ。
週に１度の休日も、起きて１時間もすると、次の日の仕事に対する不安に襲われ心は休めない。
やがて、休日でも何時間か仕事に出る。そのほうが落ち着くのだ。
心療内科に行き薬をもらって眠りを得るようになる。
１年間、月２回通院して薬をもらっていた。
そうして医者が言う。
「１年間、薬を続けていますけど、全然良くなりませんね」
「ええ そうですね」・・・１年もそういう状態であったことに始めて気がつく。
「どうしますか」
思わず口にした言葉・・・
「転職でもしますか・・・」
転職について考えたのはそれがきっかけ。
家に帰り、医者が出してくれた薬を妻とまじまじと見てみると、
睡眠導入剤、睡眠持続剤、精神安定剤に抗うつ剤・・・・
よくも、こんな薬を１年も飲んでたもんだと我ながら驚く。
そして、２日後に新聞の求人広告が目にとまった・・・。
そして、それから２ヶ月後に転職した。
おりしも１９９９年７月、ノストラダムスの予言の月。
２０年勤めた会社を去ったが、自分が考える以上にあっさりとした対応・・
そうなのだ。会社は一人で動かしていた訳ではないと気付く。
でも年収はなんと、以前の７５％に・・・
しかし、人並みの時間には帰るようになり、薬は飲まなくなった。
休みの日には精神的にも休めるようになった。
少しセーブしながらも、年収を元に戻す努力を始めた。
生活も安定し最近になり自分が取り返せた気になった。
けれど、既に遅かったのかも知れないと思う。
自己を喪失していた期間に、両親は老い、子ども達は傷を負っていた事に気が付く。
取り返したいと思っても、取り返せないものがある。
その大切さに気付くのは、失った後では遅すぎる。
みちあきさん。
ｎｉｃｅ！ありがとうございます。
また、来てください。
by haru (2006-07-03 16:59)
haruさん、こんばんは。今日はご訪問有り難うございました。
すこし、拾い読みさせてもらいました。少しずつ読ませていただいています。
頭痛とヒーローの「今のぼくはそういう子供の時の経験なしにはありえない。
時には子どもの頃を振り返ってみることも大事なんだろうと思う。
世の中はそんなに複雑じゃあない。
必要なのは少しの勇気と未来を信じる力。
そして静かに苦難に耐えるための小さな智恵。」という文が好きです。
お子さんもきっと、お父さんとの困難（お子さんにとっても困難だったでしょうから）を思い起こして自分の力にする時がくると思うし、
ご両親も、危機にあったこととそれを乗り越えたことを知ったら「よかった」と神様にお礼を言ってくれるのではないでしょうか…。勝手なこと言ってすみません。
でも、勇気と未来を信じる力と小さな智恵をもっているharuさんですから…。
by (2006-07-03 20:15)
haruさん、はじめまして。私のブログに御訪問ありがとうございました。haruさんの優しい文章、素敵です。そして心に沁みます。弱っている時、迷っている時、何かを考えさせてくれるharuさんのファンになりました。これからもよろしくお願いいたします。
by みらの (2006-07-03 23:26)
hanaさん、みらのさん ありがとうございます。
子ども達へ残す言葉を考えるというということは、最初とてもつらい事でした。
でも少しずつわかってきたことがあります。
これは、鏡に映る自分を見つめてゆくことなんだって・・
子ども達に起こっている（起こるだろう）トラブルについての解決方法は自分が
経験したことの中にヒントがある。
最近はここで書いて頭の中を整理してから子どもと話をしています。
全てがそう簡単にうまくはいかないけれど、道筋をもっておちついて話ができるようになりました。
by haru (2006-07-04 09:00)