子供たちへ・・・ [徒然]
子供達へ・・
67歳を迎えた父親は衰えている。
勿論、そんな様子を君たちに見せようとはしていないし、積極的に伝えることはない。
しかし、確実に出来ない事が多くなっているのは事実だ。
大好きであった本は1時間以上は読み続けることはできない。
ギターも時々は弾いてみるが、弾きたい曲がなかなか見つけられない。
習慣として音楽を聞いてはいるが昔のように熱中はできない。
美味しいものは食べたいがわざわざ出かけて食べに行く気が湧きづらい。
そもそも、直ぐお腹いっぱいになる。
それに弱った歯茎は硬いものに弱い。
気がつくとぼーっと過ごすことが少し多くなっている。
だからと言ってこのまま朽ち果てる気もない。
週3日となった仕事では簡易データーベースを使い新しいシステムを作っている。
老眼となった目を擦り、怠けたい気持ちに気合を入れどうにか完成に近づいている。
貯めていた小遣いで36万円のギターを買った。
ギターの良い音に助けられ、なんとかギターを引き続けている。
雪が無い時期には森歩きを忘れてはいない。
前向きに生きているということを辞めたくはない。
これからも前向きに生きていきたい。
ただ、時間を浪費するために呼吸していたくはない。
すでに親の元を離れた君たちは感じていないかも知れないけど、少なからず戦っているつもりだ。
今この歳になってわかってきたことが、たくさんある。
でも、それを君たちにどう伝えて良いのかがわからない。
もしかすると積極的に伝える必要は無いのかも知れないとも思う。
浅い眠りの中で昔からの夢をよく見る。
何回も夢の中で歩いた現実には無い町並み。
同じく現実には無い海岸。
そして昔出会った人達がそこにいる。
やがて溢れる幸福感を感じ突然目がさめる。
その繰り返し・・
この感覚は何やら恐ろしい。
まだまだクタバッたりはしない。
でも、確実にその時は少しずつ近づいている事は事実。
今、君たちは君たちの人生を忙しく歩んでいるのだろう。
だから父親と会う機会もそう多くは無い。
それはそれで良いのだと思う。
父は残りの人生をそれなりに前向きに楽しく生きていく。
その事は知っておいて欲しい。